Chapter 2 きっと、ソルガムのシロップから「焼酎」ができる!

1.最初は、「焼酎」でした!

実は、一番最初、ソルガムのシロップからお酒をつくるなら、きっとそれはたぶん「焼酎」ができると、思い込んでいました。

東日本大震災の後、農地再生復興支援の目的で、2012年からソルガムの栽培を始めましたが、宮城県南三陸町の、旧JR志津川駅のそば、と言うか、下の、津波被災地で栽培をはじめて、その後、入谷大船沢の畑(約1町歩=1ha)で栽培しました(写真下)。

ですので、できれば、宮城県で焼酎を作っている酒屋さん(蒸留所)で、作ってもらって、「地産地消」の地元オリジナル焼酎を作りたいと思っていました。

「とにかく焼酎!製造免許を持っている会社を探して頼もう!!」と

そのときまだ良くわかっていなかったので宮城県内で、製造免許をもっている会社を探しました。この時、連続蒸留式の甲類焼酎の製造メーカーでは、少量では、作ってもらえないと思っていましたので、単式蒸留の乙類の免許で探しました。

お聞きになられたことがある方も、いらっしゃるかもしれませんが、以前は、焼酎は、「甲類焼酎」と「乙類焼酎」にわかれていました。これも、酒税法の区分だったんですが、2006年(平成18年)に、名称が変わり、前回Chapter 1 の、2.酒税法 で、ご紹介しました大分類と小分類の表にあります「連続式蒸留焼酎」と「単式蒸留焼酎」になりました。

また、国税庁のホームページより引用させていただきましたが、下の表をご覧下さい。(クリックで拡大できます!)実は、平成18年度には、結構いろいろと、大きく区分が変わっています。

この「単式蒸留焼酎」は、蒸留を一度しかしない製法なので、原料の風味が飛ばず、残る特徴があり、芋、シソ、栗などなど、地方の特産品を生かした焼酎も作ることができます。いわゆる「本格焼酎」とかラベルに書いてあるのも、このタイプです。ソルガムのシロップの風味もこれで残るかもしれないと思ったのです。

一方「連続式蒸留焼酎」は、沸騰させて蒸気を冷やして、という蒸留のやり方を、連続して何度も行う製法になります。大規模な大量生産の工場で、限りなく純粋エタノールに近いものができるにちがいない、と当時思っていました。が、これも後で間違いだったと気づくことになります。苦笑

さて、この乙種焼酎=単式蒸留焼酎を作っている酒屋さん、宮城県で、ありました。2,3軒よりもっと結構ありました。でも、なんとなく、感じが違う、と言うか、みなさん、日本酒も作っているんです。ん?なんで?

これ、実は、「粕取り焼酎」という、お酒かすなど、お酒を造るときに出る副産物を利用してつくる乙種焼酎=単式蒸留焼酎で、この焼酎を作る免許では、ソルガムのシロップを原料とした焼酎は作れないんです。ガァーン。

では、では、福島県へ。幸い、数社、ありました。だけど、みんなそれなりに結構地元の大手で、少量の、新しい原料から新製品を作るようなことは、やっていない、と断られてしまいました。再び、ガァーン

2.困ったどうしよう??

正直、宮城県からあまり離れたくはないんです、原料を運ぶの大変ですし。だけど、この際、仕方がありません。茨城県へ。

ウェブで調べて連絡させていただいた蒸留所さんがありました。小規模ですが、こだわりの焼酎を作っているところで、快く協力して頂けることになりました。

ですが、この時(2013年)まだ東日本大震災の影響で、レンガ造りの煙突(すごい伝統的でカッコいい!!)が崩れてしまい、再建工事中だとのこと。でも、「復興支援はお互い様だから、稼働できるようになったら、ご連絡します。」ということで、連絡待ちとなりました。

ただ、でも、これでほんとに、いいのかな?

この蒸留所の方も、タカキビ(ソルガム)からなら焼酎が作れる、と言ってくれましたが、ちょっと、やっぱり、税務署で確認する必要があるんでは、と思い、水戸の税務署の酒税担当の方にアポイントを取りまして、確認に行きました。

担当の方は・・・(後から考えると思い込みとは恐ろしいもので・・・)「ソルガムって、つまり、キビですよね。つまり、コウリャンと同じということでしたら、焼酎で問題ないと思います。」と、お墨付きをもらった(と思いこんでしまった)ことになりました。

その後、ソルガムから、お酒にできるまで糖度の高いシロップを、収穫できるようになるまで、約3年がかかり、

やったー!、と思って、2016年ようやく先の茨城県の蒸留所さんへ連絡したのですが、再建のための補助金の使い道の関係で、新しい焼酎の製造にかかわることができなくなったと、断られてしまいました。三度、ガァーン!!!(涙)

3.でも、諦めない!!

困りました。折角、シロップが収穫できたのに、このままでは、腐ってしまう。どこへ、持っていけばいいんだ。

もう一度、日本蒸留酒酒造組合や日本洋酒酒造組合など、ウェブで調べて、ようやく何とかお願いできるかも、と連絡させて頂いたのが、今のソルガムスピリッツを製造してくださった茨城県水戸市の、明利酒類様だったのです。

だけど、お会いして、いきなり、言われました!

「焼酎の製造免許(乙種)はあるけど、シロップからだと焼酎は作れない!!!」

<to be continued>

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